能仁晃道著
平成19年6月11日発売
A5判・348頁
ISBN978-4-88182-222-7 C0015
-その年譜から近世禅宗史を読む-「鎮西の古月・東海の白隠」と並び称されながらも、ややもすれば、白隠禅の巨大な陰に隠されがちな古月禅材。
本書は、古月及び他の禅僧の関連史料を博捜して新たに編成した「古月年譜」から、古月の禅風と、古月が近世禅宗史上に果たした役割を探ろうと試みたものである。
付録として、「近世禅宗史寸考」を収める。
「西の古月・東の白隠」「枯禅の古月・勇猛の白隠」などと言われ、この二人は対比的に捉えられ、また、東嶺円慈を始め、良哉元明・快岩古徹・大休慧など、古月下から白隠下に転じ、大いにその宗風を挙揚していく幾多の禅者たちの存在によって、白隠禅の優越性を論じる向きもあるが、そういう視点では、近世禅宗史の全貌は見えて来ないのではないか。(中略)日本臨済宗の禅は、白隠禅という一語に収斂されていくのであるが、この白隠禅という呼称は、近世禅宗史という一本の大河の、大きな流れの到達点であって、古月や、他の幾多の禅匠たちの禅が亡び、白隠の禅だけが生き残ったというものではないと思うのである。(「あとがき」より)
【もくじ】
古月禅師の足跡を訪ねて
新編 古月禅師年譜
凡例
年譜本編
禅師号綸旨
慈雲山福聚禅寺開山古月和尚碑銘
天寿興建開基古月禅師塔銘
道号頌
その他の参徒
古月の法嗣
古月下から白隠に嗣法した僧
附録 近世禅宗史寸考
〔第一考〕 古月の法嗣、北禅道済は実在したか
〔第二考〕伽藍法と印証系という二つの法系について
〔第三考〕五山の結制復活に果たした象海恵湛禅師の功績
〔第四考〕清見寺の陽春和尚と法常寺の大道和尚、そして古月と白隠
〔第五考〕古月禅師の手紙
〔第六考〕東嶺円慈と古月禅材
〔第七考〕盤珪さんと道者、そして賢巌と古月
〔第八考〕私が本師という呼称を誤用していた理由と弁明
あとがき
古月禅師略年譜
索引